何時も出会う人

平日の半分ほど、通勤のため始発の

電車に乗ります。いつも同じ時間で

いつも同じ車両なので、乗っている人も

いつも同じ人が多いです。

そのなかのお一人のご婦人は、降りる

駅も同じなので、ほぼ毎回

改札口に向かうエスカレーターでは

すぐ前列に立っていらっしゃるのです。

その人が背負われたリュックサックに、

可愛らしい男の赤ちゃんとママの写真が

キーホルダーになって下がっている。

前列なのでどうしても目に入ってしまう

のでした。娘さんと、お孫さんかな。

そんな日々を過ごし続けて、数年が

経った先月。

エスカレーターでご婦人の後ろに

立ったときに、その方が普段と違う

リュックを背負われていました。

やっぱり、後列の者から見える位置に

キーホルダーが下がっていたのだけれど、

そこには少年ぽい男の子の写真があり

ました。

・・・キーホルダーの（たぶん）孫さん、

成長してる！

大きくなった彼の写真には

げんた（仮名） とお名前らしきものも

明記されていた。ああ、孫の名前まで

知ってしまった。

後列の者は、知らなくていいことまで

分かってしまい、ちょっと戸惑っています。

もちろん、このかたに数人お孫さんがいら

して、キーホルダーも何人分かお持ちで

いらっしゃるのかもしれませんが。

お孫さんがいるご年齢で、朝早くから何年も

始発で働きに出ていらっしゃる、その気力に脱帽。

（孫じゃない人の写真で、そもそも

お仕事のために始発に乗っているわけで

なかったらどうしよう・・・）